缶ヶ江メグルは進撃の巨人が好き

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壁の向こう側に行く

21巻あらすじ ウォール・マリア奪還成功 地下室の本、外の世界の話

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第83話 大鉈(おおなた)

シガンシナ区、建物の屋根の上。エレンはベルトルトを捕獲することに成功。傍には全身丸コゲになったアルミンが倒れている。アルミンが捨て身で囮にならなかったら、ベルトルトを捕まえることはできなかった。ドドドドドドッ!そこへ四足歩行巨人が接近してくる。それにはジークが乗っており、エレンに意味深なことを言う。

「信じてほしい。俺はお前の理解者だ。俺達はあの父親の被害者…お前は父親に洗脳されている」

 

ふとジークは壁上からこちらを見ている者に気付く。リヴァイだ。俺の大型巨人達を倒して追いついて来たのか…化け物め…

リヴァイが下に降りてくる。

「…エレン、いつかお前を救い出してやるからな」ドドドドド…

 

リヴァイがエレンの元に来る。

「今のでガスが完全に切れた。奴を追う。ガスと刃すべてよこせ」

エレンが自分のガスをカチャカチャと外す。その後ろで倒れているアルミンが、「ゴホッ」と一回咳をした…

 

 

 

一方ハンジとリヴァイ班(エレン、アルミン以外)はライナーの捕獲に成功し、ハンジが刃で止めを刺そうとしていた。しかしジャンが進言する。あの注射器を打って鎧の巨人の力を奪えるかもしれない…。ハンジは止めを刺すのを中止し、ミカサに指示をする。エレンとアルミンの元へ行き、ガスを補給してリヴァイを探し、注射薬を貰ってこい。なんらかの理由でそれが叶わぬ場合は信煙弾を撃て。ミカサはすぐに立体機動で飛んでゆく。しばらくして、信煙弾が撃たれる。その時、四足歩行巨人がハンジめがけて突進してきた。ドドドドドド…!

「ハンジさん!!」

ジャンはとっさに立体機動でハンジにぶつかりに行き、四足歩行巨人がハンジを食おうとしたのを間一髪避けた。しかし四足歩行巨人はその口にライナーをくわえ、そのまま逃げた。こうなるんだったら、進言なんかしなきゃ良かった…!ジャンは自分を責める。ハンジは「私の判断だ」と言う。エレンたちと合流しよう。

 

 

 

「やった!!やったぞ!!アルミンが息を吹き返した!!がんばれ!!もっと息吸え!!兵長!!注射を早く!!」

ちょうどミカサがやって来た時、アルミンが「ヒュ~ヒュ~」と弱々しく息をしはじめた。リヴァイは注射をアルミンにするかどうか判断しかねている様子だ。しかし今、他に近くにアルミンより瀕死で重要な人物はいない。エレンに注射器の箱を渡そうとする。

「リヴァイ…兵長。やっと追いついた」

そこへ騎馬特攻で生き残った新兵フロックが現れる。瀕死のエルヴィンを背負って…

リヴァイはエレンに渡そうとした注射器を引っ込める。エルヴィンをその場に仰向けに寝かせ、容体を確認する。…まだ息をしている。リヴァイが口を開く。

「この注射はエルヴィンに打つ」

さっきアルミンに使うって…。エレンは悲しみと怒りの混じった形相でリヴァイに詰め寄る。ミカサもエレンと同じような表情をしながら、刃を取り出してリヴァイの方に近づく…

 

 

壁上まで逃げてきたジークたちは、その様子を上から見ていた。どうやらリヴァイはこちらを追ってる場合じゃなさそうだ。ジークは「ライナー…お前は運が良かったね」とつぶやく。

 

 

 

 

 

 

第84話 白夜

俺は人類を救える方を生かす。アルミンの実績も決して捨てたものじゃないが、そのために調査兵団の団長を失うのはあまりにも大きな損失だ。しかしエレンは言うことを聞かず、注射器を力ずくで奪おうとする。リヴァイはエレンを殴り、その場に倒す。ミカサは目の色を変え、すかさずリヴァイに飛びかかる。リヴァイは今まで続いた激しい戦闘で弱っており、馬乗りになったミカサを払い除けることができない。

リヴァイは、エルヴィンなしに人類は巨人に勝つことができないと説くが、エレンは、アルミンがいなくたって無理だ、と反論する。しかしフロックも黙ってない。壁の向こう側で誰もが絶望する中、一人獣の巨人を討ち取る策を立て、実行したのはエルヴィン団長だと。だから人類を救うのは団長なんだ!フロックはミカサを止めに入ろうとする。ミカサは刃を構える。

「よせ!!」リヴァイが叫ぶ。

 

ドォッ!ハンジがミカサを後ろから羽交い絞めにし、リヴァイから引きはがす。リヴァイは注射器の入った箱を開け、準備を始める。

「うわあああああああああああああああ!!」ミカサが叫ぶ。

ハンジは、エルヴィンはまだ調査兵団に必要なんだと必死に説得するが、ミカサはまだ抵抗を続ける。

「私にも…生き返らせたい人がいる。何百人も…。調査兵団に入った時から、別れの日々だ」

ハンジは先ほど、ベルトルトが超大型巨人になって辺り一面を吹き飛ばした時、部下のモブリットに後ろから突き飛ばされて、爆発の前に井戸の中に一人放り込まれたことを思い出す。

「でも…わかっているだろ?誰にだっていつかは別れる日が来るって。とてもじゃないけど受け入れられないよ。正気を保つことさえままならない…。辛い…辛いよ。わかってる。それでも、前に進まなきゃいけない…」

ハンジのこの言葉にミカサは心を動かし、抵抗を止める。

 

ガシッ!エレンはリヴァイの足をつかみ、抵抗を諦めない、アルミンは戦うだけじゃない、海を見に行くっていう夢を見ている!

「オイ!!もうやめろよ」

フロックがエレンを引きはがす。リヴァイが指示を下す。全員ここから離れろ!!ここで確実にベルトルトをエルヴィンに食わせる!

 

皆が遠くから見守る中、リヴァイはエルヴィンの腕に注射針を刺そうとする。バッ!!突然エルヴィンの腕が注射を拒否するように動く。エルヴィンは挙手しているようなポーズになり、しゃべりだす。

「先生…… ……に……いないって…… ……やって調べたんですか?」

「…エルヴィン?」

エルヴィンは薄目を開けてゼェゼェと息をしながら、中空をまっすぐ見つめている。リヴァイは数時間前、エルヴィンに「夢を諦めて死んでくれ」と言った時のことを思い出す。あの時エルヴィンは穏やかな顔になって、

「リヴァイ…ありがとう」

と言ったのだった。リヴァイはまた、ケニーの死に際でのことも思い出す。あいつは注射器のセットを持っていて、自分に使おうと思えば使えたのに、最後までとっておいて、ついには自分に使わずリヴァイにあげて死んだ。

さっきエルヴィンが腕を払ったのは、「俺はいらない」という意味なのだろうか…?しかししゃべったのは彼の見続けている夢の話だった。…最後まで夢を見るのを諦めることはできない。でも俺はもう注射しなくていい。そう言っているように見えた…

 

バキバキバキバキ…。巨人が建物を壊しながら、ベルトルトを食おうと近づいている。巨人がベルトルトをつかむ。彼は目を覚まし、叫び声を上げるが、四肢が斬られているので抵抗できない。ベルトルトは助けを求めて叫びながら、巨人に食われる。

ベルトルトを食った巨人はその場にうずくまり、人の姿に戻ってゆく。アルミンの姿になる。104期兵の皆が駆けつける。

 

エルヴィンの傍にいるリヴァイとハンジは、それを見ていた。フロックもエルヴィンの近くにおり、リヴァイに尋ねた。

兵長…どうして…ですか?」

「…こいつを許してやってくれないか?こいつは悪魔になるしかなかった。それを望んだのは俺達だ…。その上、一度は地獄から解放されたこいつを……再び地獄に呼び戻そうとした。お前と同じだ。だがもう…休ませてやらねぇと…」

 

 

 

 

 

 

第85話 地下室

アルミンとサシャを内門の壁上に寝かせ、調査兵団はアルミンが起きるまで生存者の捜索をしていた。アルミンが目を覚ますと、全員壁上に集まり、途中から記憶がない彼に状況を話して聞かせた。

戦闘が終わってから4時間、未だ生存者は見つかっておらず、生き残ったのはここにいる9人、ハンジ、リヴァイ、エレン、ミカサ、アルミン、ジャン、コニー、サシャ、フロックだけだった。注射をエルヴィンに打たなかったのは、リヴァイが彼にこれ以上過酷な運命を背負わせたくなかったから、ということもアルミンに伝えた。また、次の調査兵団団長はハンジが務める。

 

そこまで話が終わって、ハンジはリヴァイ、エレン、ミカサと共に地下室へ調査に行くと言った。残りの4人に壁上から見張りをするよう指示して。

 

エレンの家の地下室へとつづく通路は無事で、中に入ると机の隠し引戸の二重底の下から、本が3冊出てきた。エルヴィンがずっと探し求めていたのはこれだった。

 

調査兵団はこれらの本を持ち帰り、夜明け頃ウォール・ローゼ トロスト区に帰還した。ウォール・マリアに着いて作戦を開始したのも夜明け頃だったので、ちょうど1日経ったことになる。あれだけの激戦を繰り広げたにしては、1日しか経っていなかったのかと感じる…。

 

 

 

 

 

 

第86話 あの日

グリシャの残した本には、彼の生い立ちと共に壁の外の世界について記されていた。冒頭はこんな文章から始まる。

「私は人類が優雅に暮らす壁の外から来た。人類は滅んでなどいない」

 

壁の中の世界では、人類を滅ぼしたとされている巨人。そもそも巨人たちはいつ生まれたのか?

それは今から1820年前、我々の祖先「ユミル・フリッツ」が「大地の悪魔」と契約し手に入れた力、巨人の力がはじまりなのだ。ユミルは死後、「九つの巨人」に魂を分けてエルディア帝国を築いた。エルディアは古代の大国マーレを亡ぼして大陸の支配者となる。そこから1700年の間は、エルディアが他の民族を侵略し、土地と財産を奪って、エルディア人の子どもを無理やり産ませた。

しかし、マーレは80年前、エルディアに内部工作を仕組んで成功する。九つの巨人の七つを自軍の味方につけ、巨人大戦に勝利する。フリッツ王は残された国土「パラディ島」に三重の壁を築き、国民と共に逃げ込んだ。だが全員ではなく、大陸に残されたエルディア人も大勢いた。マーレはその見捨てられたエルディア人たちを根絶やしにせず、土地を与えて生かした。それがマーレ国のレベリオ収容区であり、グリシャが生まれた場所である。

 

 

グリシャはこの世の真実を知ることになった幼い頃のある1日のことを記している。

その日、グリシャと妹のフェイは腕章をつけて、飛行船を見に外へ出掛けた。外を出歩く時は、エルディア人は左腕に腕章をつけなければならない決まりがあった。収容区の端まで来て、まだ飛行船を見たいと思ったグリシャは妹を連れて無許可で収容区の外へ出てゆく。

外ではエルディア人は「悪魔の血」とか言われ、差別的な冷たい目で見られる。それでも飛行船を追いかけて見ることはできた。しかし、そこで治安当局の職員に見つかり、無許可で市内に入ったことがバレる。グリシャは妹の分まで制裁(おしおきの暴力)を受け、妹は小太りの職員に連れられて先に帰っていった。だが、その日妹は家に帰って来ず、翌日川で死体となって発見された。

 

後日あの日と同じ2人の「マーレ治安当局」職員がグリシャの家に忠告に来る。小太りの男は、妹を収容区の門の前まで送った後、忙しかったからすぐ仕事に戻ったと話した。でも明らかな嘘だった、市内に飛行船を見に行った時、2人の職員は土手に寝転んで一服していたのだから。

でもグリシャの両親は2人の職員にへりくだるばかり。すみませんでした、息子にはよく言っておきます。2人の職員が帰った後も両親は、グリシャが「あの男は嘘をついている」と言おうものなら、「黙れ!!」と一喝した。イェーガー一家は治安当局を疑い恨みを抱いている、そんな噂が流れただけで、一家全員が「楽園送り」にされてしまう。だから我々にできることは、この収容区でただ慎ましく、沈黙して生きることなのだ…。頼むから父さんと母さんをフェイと同じ目に遭わせないでくれ。

「わかった」

 

その後グリシャは父の診療所を継ぐため、医師として働いて修行中だった。18の時、ある患者からグリシャの妹はマーレ当局の男に殺されたと聞かされる。その患者は反体制地下組織「エルディア復権派」のメンバーで、グリシャが医療従事者で、かつマーレ政府に強い憎しみを抱いていることに注目し、勧誘に来たのだった。グリシャは妹の事件の真相を知った時、心に誓う。エルディアを復活させて、世界を正さなければならないと。

 

エルディア復権派には「フクロウ」と呼ばれるマーレ政府内通者がおり、その者が復権派に武器や資金、今のエルディアが知り得ない歴史文献を提供した。

ある時フクロウは復権派に一人の仲間を連れてきた。名はダイナ・フリッツ。パラディ島に逃げるのを拒んだ王家の一族の末裔だった。彼女は王家の巨人の持つ力について教えてくれた。「始祖の巨人」は他の巨人すべてを支配し操ることができる、このことを復権派は初めて知った。そして壁の中の王から「始祖の巨人」の力を取り戻すことこそが、エルディア復活のために我らがやるべきことという結論に至る。

グリシャは既に復権派のリーダー的存在となり、ダイナに見初められ、2人は翌年結婚し、男子を授かる。名はジーク。

 

時は流れそれから数年後、マーレ政府はエルディア人にお触れを出す。「マーレの戦士」を募るという。対象は5~7歳の健康な男子女子で、その中から、マーレ政府管理下にある「七つの巨人」を継承させるというのだ。選ばれた戦士の一族は「名誉マーレ人」の称号を与えられ、マーレ国での自由を保障される。

 

なぜそんなことをマーレがするかというと、表向きにはパラディ島のフリッツ王がマーレに対し宣戦布告をしてきたから、その戦いに備えるためというのが理由である。

でもフクロウが流してくれた情報によると、近年の軍事技術の目覚ましい発展で、「七つの巨人」の力によって世界の指導者の地位を支えているマーレはいずれその席を誰かに奪われる。これからは燃料を背景とする軍事力が物を言う時代に変わる。パラディ島には莫大な化石燃料が埋蔵されているらしく、他の国に奪われる前に自国の物にしておきたい。そのために、壁の中のフリッツ王を刺激せぬようパラディ島に侵入し、「始祖の巨人」を奪還、パラディ島を制圧する。これが本当の目的らしい。

 

奇しくも復権派の目的がマーレとかぶってしまった。あと数年でマーレに先を越されてしまう…。何か手はないのか…。1つ…ある。グリシャの息子ジークをマーレの戦士にさせ、彼に始祖の巨人の奪還を託すことだった。グリシャとダイナは復権派の願いを叶えるべく、ジークに教育を施す。

 

しかし…ジークは7歳の時、両親をマーレ政府に密告する。エルディア復権派は全員捕らえられ、「楽園送り」にされることとなる…。楽園送りとはパラディ島で人食い巨人に変えさせられ、永遠に島を彷徨い続けさせられることを指すのだった…。