缶ヶ江メグルは進撃の巨人が好き

缶ヶ江メグルは進撃の巨人が好き

壁の向こう側に行く

21巻あらすじ ウォール・マリア奪還成功 地下室の本、外の世界の話

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第83話 大鉈(おおなた)

シガンシナ区、建物の屋根の上。エレンはベルトルトを捕獲することに成功。傍には全身丸コゲになったアルミンが倒れている。アルミンが捨て身で囮にならなかったら、ベルトルトを捕まえることはできなかった。ドドドドドドッ!そこへ四足歩行巨人が接近してくる。それにはジークが乗っており、エレンに意味深なことを言う。

「信じてほしい。俺はお前の理解者だ。俺達はあの父親の被害者…お前は父親に洗脳されている」

 

ふとジークは壁上からこちらを見ている者に気付く。リヴァイだ。俺の大型巨人達を倒して追いついて来たのか…化け物め…

リヴァイが下に降りてくる。

「…エレン、いつかお前を救い出してやるからな」ドドドドド…

 

リヴァイがエレンの元に来る。

「今のでガスが完全に切れた。奴を追う。ガスと刃すべてよこせ」

エレンが自分のガスをカチャカチャと外す。その後ろで倒れているアルミンが、「ゴホッ」と一回咳をした…

 

 

 

一方ハンジとリヴァイ班(エレン、アルミン以外)はライナーの捕獲に成功し、ハンジが刃で止めを刺そうとしていた。しかしジャンが進言する。あの注射器を打って鎧の巨人の力を奪えるかもしれない…。ハンジは止めを刺すのを中止し、ミカサに指示をする。エレンとアルミンの元へ行き、ガスを補給してリヴァイを探し、注射薬を貰ってこい。なんらかの理由でそれが叶わぬ場合は信煙弾を撃て。ミカサはすぐに立体機動で飛んでゆく。しばらくして、信煙弾が撃たれる。その時、四足歩行巨人がハンジめがけて突進してきた。ドドドドドド…!

「ハンジさん!!」

ジャンはとっさに立体機動でハンジにぶつかりに行き、四足歩行巨人がハンジを食おうとしたのを間一髪避けた。しかし四足歩行巨人はその口にライナーをくわえ、そのまま逃げた。こうなるんだったら、進言なんかしなきゃ良かった…!ジャンは自分を責める。ハンジは「私の判断だ」と言う。エレンたちと合流しよう。

 

 

 

「やった!!やったぞ!!アルミンが息を吹き返した!!がんばれ!!もっと息吸え!!兵長!!注射を早く!!」

ちょうどミカサがやって来た時、アルミンが「ヒュ~ヒュ~」と弱々しく息をしはじめた。リヴァイは注射をアルミンにするかどうか判断しかねている様子だ。しかし今、他に近くにアルミンより瀕死で重要な人物はいない。エレンに注射器の箱を渡そうとする。

「リヴァイ…兵長。やっと追いついた」

そこへ騎馬特攻で生き残った新兵フロックが現れる。瀕死のエルヴィンを背負って…

リヴァイはエレンに渡そうとした注射器を引っ込める。エルヴィンをその場に仰向けに寝かせ、容体を確認する。…まだ息をしている。リヴァイが口を開く。

「この注射はエルヴィンに打つ」

さっきアルミンに使うって…。エレンは悲しみと怒りの混じった形相でリヴァイに詰め寄る。ミカサもエレンと同じような表情をしながら、刃を取り出してリヴァイの方に近づく…

 

 

壁上まで逃げてきたジークたちは、その様子を上から見ていた。どうやらリヴァイはこちらを追ってる場合じゃなさそうだ。ジークは「ライナー…お前は運が良かったね」とつぶやく。

 

 

 

 

 

 

第84話 白夜

俺は人類を救える方を生かす。アルミンの実績も決して捨てたものじゃないが、そのために調査兵団の団長を失うのはあまりにも大きな損失だ。しかしエレンは言うことを聞かず、注射器を力ずくで奪おうとする。リヴァイはエレンを殴り、その場に倒す。ミカサは目の色を変え、すかさずリヴァイに飛びかかる。リヴァイは今まで続いた激しい戦闘で弱っており、馬乗りになったミカサを払い除けることができない。

リヴァイは、エルヴィンなしに人類は巨人に勝つことができないと説くが、エレンは、アルミンがいなくたって無理だ、と反論する。しかしフロックも黙ってない。壁の向こう側で誰もが絶望する中、一人獣の巨人を討ち取る策を立て、実行したのはエルヴィン団長だと。だから人類を救うのは団長なんだ!フロックはミカサを止めに入ろうとする。ミカサは刃を構える。

「よせ!!」リヴァイが叫ぶ。

 

ドォッ!ハンジがミカサを後ろから羽交い絞めにし、リヴァイから引きはがす。リヴァイは注射器の入った箱を開け、準備を始める。

「うわあああああああああああああああ!!」ミカサが叫ぶ。

ハンジは、エルヴィンはまだ調査兵団に必要なんだと必死に説得するが、ミカサはまだ抵抗を続ける。

「私にも…生き返らせたい人がいる。何百人も…。調査兵団に入った時から、別れの日々だ」

ハンジは先ほど、ベルトルトが超大型巨人になって辺り一面を吹き飛ばした時、部下のモブリットに後ろから突き飛ばされて、爆発の前に井戸の中に一人放り込まれたことを思い出す。

「でも…わかっているだろ?誰にだっていつかは別れる日が来るって。とてもじゃないけど受け入れられないよ。正気を保つことさえままならない…。辛い…辛いよ。わかってる。それでも、前に進まなきゃいけない…」

ハンジのこの言葉にミカサは心を動かし、抵抗を止める。

 

ガシッ!エレンはリヴァイの足をつかみ、抵抗を諦めない、アルミンは戦うだけじゃない、海を見に行くっていう夢を見ている!

「オイ!!もうやめろよ」

フロックがエレンを引きはがす。リヴァイが指示を下す。全員ここから離れろ!!ここで確実にベルトルトをエルヴィンに食わせる!

 

皆が遠くから見守る中、リヴァイはエルヴィンの腕に注射針を刺そうとする。バッ!!突然エルヴィンの腕が注射を拒否するように動く。エルヴィンは挙手しているようなポーズになり、しゃべりだす。

「先生…… ……に……いないって…… ……やって調べたんですか?」

「…エルヴィン?」

エルヴィンは薄目を開けてゼェゼェと息をしながら、中空をまっすぐ見つめている。リヴァイは数時間前、エルヴィンに「夢を諦めて死んでくれ」と言った時のことを思い出す。あの時エルヴィンは穏やかな顔になって、

「リヴァイ…ありがとう」

と言ったのだった。リヴァイはまた、ケニーの死に際でのことも思い出す。あいつは注射器のセットを持っていて、自分に使おうと思えば使えたのに、最後までとっておいて、ついには自分に使わずリヴァイにあげて死んだ。

さっきエルヴィンが腕を払ったのは、「俺はいらない」という意味なのだろうか…?しかししゃべったのは彼の見続けている夢の話だった。…最後まで夢を見るのを諦めることはできない。でも俺はもう注射しなくていい。そう言っているように見えた…

 

バキバキバキバキ…。巨人が建物を壊しながら、ベルトルトを食おうと近づいている。巨人がベルトルトをつかむ。彼は目を覚まし、叫び声を上げるが、四肢が斬られているので抵抗できない。ベルトルトは助けを求めて叫びながら、巨人に食われる。

ベルトルトを食った巨人はその場にうずくまり、人の姿に戻ってゆく。アルミンの姿になる。104期兵の皆が駆けつける。

 

エルヴィンの傍にいるリヴァイとハンジは、それを見ていた。フロックもエルヴィンの近くにおり、リヴァイに尋ねた。

兵長…どうして…ですか?」

「…こいつを許してやってくれないか?こいつは悪魔になるしかなかった。それを望んだのは俺達だ…。その上、一度は地獄から解放されたこいつを……再び地獄に呼び戻そうとした。お前と同じだ。だがもう…休ませてやらねぇと…」

 

 

 

 

 

 

第85話 地下室

アルミンとサシャを内門の壁上に寝かせ、調査兵団はアルミンが起きるまで生存者の捜索をしていた。アルミンが目を覚ますと、全員壁上に集まり、途中から記憶がない彼に状況を話して聞かせた。

戦闘が終わってから4時間、未だ生存者は見つかっておらず、生き残ったのはここにいる9人、ハンジ、リヴァイ、エレン、ミカサ、アルミン、ジャン、コニー、サシャ、フロックだけだった。注射をエルヴィンに打たなかったのは、リヴァイが彼にこれ以上過酷な運命を背負わせたくなかったから、ということもアルミンに伝えた。また、次の調査兵団団長はハンジが務める。

 

そこまで話が終わって、ハンジはリヴァイ、エレン、ミカサと共に地下室へ調査に行くと言った。残りの4人に壁上から見張りをするよう指示して。

 

エレンの家の地下室へとつづく通路は無事で、中に入ると机の隠し引戸の二重底の下から、本が3冊出てきた。エルヴィンがずっと探し求めていたのはこれだった。

 

調査兵団はこれらの本を持ち帰り、夜明け頃ウォール・ローゼ トロスト区に帰還した。ウォール・マリアに着いて作戦を開始したのも夜明け頃だったので、ちょうど1日経ったことになる。あれだけの激戦を繰り広げたにしては、1日しか経っていなかったのかと感じる…。

 

 

 

 

 

 

第86話 あの日

グリシャの残した本には、彼の生い立ちと共に壁の外の世界について記されていた。冒頭はこんな文章から始まる。

「私は人類が優雅に暮らす壁の外から来た。人類は滅んでなどいない」

 

壁の中の世界では、人類を滅ぼしたとされている巨人。そもそも巨人たちはいつ生まれたのか?

それは今から1820年前、我々の祖先「ユミル・フリッツ」が「大地の悪魔」と契約し手に入れた力、巨人の力がはじまりなのだ。ユミルは死後、「九つの巨人」に魂を分けてエルディア帝国を築いた。エルディアは古代の大国マーレを亡ぼして大陸の支配者となる。そこから1700年の間は、エルディアが他の民族を侵略し、土地と財産を奪って、エルディア人の子どもを無理やり産ませた。

しかし、マーレは80年前、エルディアに内部工作を仕組んで成功する。九つの巨人の七つを自軍の味方につけ、巨人大戦に勝利する。フリッツ王は残された国土「パラディ島」に三重の壁を築き、国民と共に逃げ込んだ。だが全員ではなく、大陸に残されたエルディア人も大勢いた。マーレはその見捨てられたエルディア人たちを根絶やしにせず、土地を与えて生かした。それがマーレ国のレベリオ収容区であり、グリシャが生まれた場所である。

 

 

グリシャはこの世の真実を知ることになった幼い頃のある1日のことを記している。

その日、グリシャと妹のフェイは腕章をつけて、飛行船を見に外へ出掛けた。外を出歩く時は、エルディア人は左腕に腕章をつけなければならない決まりがあった。収容区の端まで来て、まだ飛行船を見たいと思ったグリシャは妹を連れて無許可で収容区の外へ出てゆく。

外ではエルディア人は「悪魔の血」とか言われ、差別的な冷たい目で見られる。それでも飛行船を追いかけて見ることはできた。しかし、そこで治安当局の職員に見つかり、無許可で市内に入ったことがバレる。グリシャは妹の分まで制裁(おしおきの暴力)を受け、妹は小太りの職員に連れられて先に帰っていった。だが、その日妹は家に帰って来ず、翌日川で死体となって発見された。

 

後日あの日と同じ2人の「マーレ治安当局」職員がグリシャの家に忠告に来る。小太りの男は、妹を収容区の門の前まで送った後、忙しかったからすぐ仕事に戻ったと話した。でも明らかな嘘だった、市内に飛行船を見に行った時、2人の職員は土手に寝転んで一服していたのだから。

でもグリシャの両親は2人の職員にへりくだるばかり。すみませんでした、息子にはよく言っておきます。2人の職員が帰った後も両親は、グリシャが「あの男は嘘をついている」と言おうものなら、「黙れ!!」と一喝した。イェーガー一家は治安当局を疑い恨みを抱いている、そんな噂が流れただけで、一家全員が「楽園送り」にされてしまう。だから我々にできることは、この収容区でただ慎ましく、沈黙して生きることなのだ…。頼むから父さんと母さんをフェイと同じ目に遭わせないでくれ。

「わかった」

 

その後グリシャは父の診療所を継ぐため、医師として働いて修行中だった。18の時、ある患者からグリシャの妹はマーレ当局の男に殺されたと聞かされる。その患者は反体制地下組織「エルディア復権派」のメンバーで、グリシャが医療従事者で、かつマーレ政府に強い憎しみを抱いていることに注目し、勧誘に来たのだった。グリシャは妹の事件の真相を知った時、心に誓う。エルディアを復活させて、世界を正さなければならないと。

 

エルディア復権派には「フクロウ」と呼ばれるマーレ政府内通者がおり、その者が復権派に武器や資金、今のエルディアが知り得ない歴史文献を提供した。

ある時フクロウは復権派に一人の仲間を連れてきた。名はダイナ・フリッツ。パラディ島に逃げるのを拒んだ王家の一族の末裔だった。彼女は王家の巨人の持つ力について教えてくれた。「始祖の巨人」は他の巨人すべてを支配し操ることができる、このことを復権派は初めて知った。そして壁の中の王から「始祖の巨人」の力を取り戻すことこそが、エルディア復活のために我らがやるべきことという結論に至る。

グリシャは既に復権派のリーダー的存在となり、ダイナに見初められ、2人は翌年結婚し、男子を授かる。名はジーク。

 

時は流れそれから数年後、マーレ政府はエルディア人にお触れを出す。「マーレの戦士」を募るという。対象は5~7歳の健康な男子女子で、その中から、マーレ政府管理下にある「七つの巨人」を継承させるというのだ。選ばれた戦士の一族は「名誉マーレ人」の称号を与えられ、マーレ国での自由を保障される。

 

なぜそんなことをマーレがするかというと、表向きにはパラディ島のフリッツ王がマーレに対し宣戦布告をしてきたから、その戦いに備えるためというのが理由である。

でもフクロウが流してくれた情報によると、近年の軍事技術の目覚ましい発展で、「七つの巨人」の力によって世界の指導者の地位を支えているマーレはいずれその席を誰かに奪われる。これからは燃料を背景とする軍事力が物を言う時代に変わる。パラディ島には莫大な化石燃料が埋蔵されているらしく、他の国に奪われる前に自国の物にしておきたい。そのために、壁の中のフリッツ王を刺激せぬようパラディ島に侵入し、「始祖の巨人」を奪還、パラディ島を制圧する。これが本当の目的らしい。

 

奇しくも復権派の目的がマーレとかぶってしまった。あと数年でマーレに先を越されてしまう…。何か手はないのか…。1つ…ある。グリシャの息子ジークをマーレの戦士にさせ、彼に始祖の巨人の奪還を託すことだった。グリシャとダイナは復権派の願いを叶えるべく、ジークに教育を施す。

 

しかし…ジークは7歳の時、両親をマーレ政府に密告する。エルディア復権派は全員捕らえられ、「楽園送り」にされることとなる…。楽園送りとはパラディ島で人食い巨人に変えさせられ、永遠に島を彷徨い続けさせられることを指すのだった…。

20巻あらすじ 決着 獣、鎧、超大型を倒す

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第79話 完全試合(パーフェクトゲーム)

 シガンシナ区で超大型巨人になったベルトルトは、周りの建物を燃やし、破壊しながら内門に向かってゆっくり前進していく。リヴァイ班(104期兵)はアルミンに指揮を求める。アルミンは「一旦撤退して団長と合流、指示を仰ぐ、超大型巨人は当初の作戦通り消耗戦で対応、力尽きるまでシガンシナ区で暴れさせておく」。そう自信無さげに言う。

「イヤ待てアルミン」その作戦ではマズイことがあるとジャンは気付く。

超大型巨人が内門まで来てしまうと、門の反対側の馬めがけて燃やしたガレキを投げてくるだろう。それで馬が殺されるどころか、向こうの仲間たちが巨人と炎のガレキに挟み撃ちにされてしまう。

ということは、超大型巨人は今、リヴァイ班だけで倒さなくてはならないことになる…。アルミンは今どうすればいいかわからない。一時的にジャンに指揮を交代してもらう。

 

ジャンは考える。超大型巨人に何が有効なのかわからない。だったら、思いついたことは何でも試して、奴の弱点を探るしかない。

まず巨人化エレンに叫んでみてもらうが、超大型巨人は全く止まる気配がない。エレンたちの存在には気付いたようだが、無視して内門の方に歩いてゆく。

次に、巨人化エレンに奴の足を力ずくで止めさせる作戦。巨人化エレンは叫びながら力の限り奴の片足を押すが、奴はその片足を浮かせて一旦後ろに引き、勢いよく前に振り出した…!ドオオォォン!巨人化エレンは吹っ飛び、内門の壁上あたりに打ちつけられ、のびる。ダメだった。

 

 

 

 

 

 

 

第80話 名も無き兵士

次は雷槍を撃ち込む作戦。ジャンとコニーとサシャが奴の気を惹きつけて、ミカサが背後から撃つ。その瞬間、超大型巨人は全身から蒸気を出しはじめ、その強力な熱風でミカサの撃った雷槍は奴に当たることなく吹き飛ばされる。ジャンたちの立体機動のアンカーも外れる。ミカサは吹き飛んだ雷槍が途中で爆発した破片を受け右腕を負傷、コニーは熱風の中で息を吸って喉が焼けた。ミカサがアルミンに訊く。

「どう?何か…反撃の糸口は…」

「…何も」

超大型巨人はまっすぐ内門の方へと進んでゆく…。

ドォン!!

突然近くの建物が破壊される音がする。その方を見ると、鎧の巨人が復活して立っていた…

 

 

 

 一方ウォール・マリア領、獣の巨人サイド。2~3m級の巨人を残り数体まで倒した。その時、突然おびただしい数の砲撃が内門の方に飛んでくる。ドドドドドオオオォォォン!!

巨人も人間も見境なく撃たれて吹き飛ぶ。エルヴィンは内門の壁上から、リヴァイは建物の屋根の上から見ていた。獣の巨人が大きな岩を砕いた塊を豪速球でこちらに投げてきていた。豪速球の投石は続く。ドドドドォォォン!!リヴァイは馬の牽引部隊に、壁側まで後退するよう指示する。エルヴィンがリヴァイの元に降りてくる。リヴァイが状況を尋ねる。

「獣は兵士が前方の1ヶ所に集まるように小型の巨人を操作していたのだろう。そこで小型の巨人を相手にしていたディルク・マレーネ・クラース班は先ほどの投石で全滅したようだ。つまり内門側の残存兵力は新米調査兵士の諸君たちと、リヴァイ兵士長、そして私だ」

 

ドドドドドドド…!!

「うあああ!!」「もうダメだああああ!!」新兵たちはパニックになっている。

リヴァイは巨人化エレンにエルヴィンと何人かを乗せて敗走する策を提案する。既に状況はそういう段階にあると思わないか?

「ああ、反撃の手立てが何も無ければな…」

「…あるのか?」

「…あぁ」

「…なぜそれをすぐに言わない?…なぜクソみてぇな面して黙っている?」

「…この作戦がうまくいけば…お前は獣を仕留めることができるかもしれない。ここにいる新兵と私の命を捧げればな」

 

このままでは我々はほとんど死ぬ。ならば玉砕覚悟で勝機に懸ける戦法も止む無しなのだが…そのためにはあの若者たちに死んでくれと、一流の詐欺師のように体のいい方便を並べなくてはならない。私が先頭を走らなければ誰も続く者はいないだろう。そして私は真っ先に死ぬ。地下室に何があるのか知ることもなくな…。ハァ…

 

エルヴィンはその辺の木箱に腰掛け、うなだれる。

「俺は…このまま…地下室に行きたい…。俺が今までやってこれたのも…いつかこんな日が来ると思ってたからだ…。いつか…“答え合わせ”ができるはずだと。

…何度も…死んだ方が楽だと思った。それでも…父との夢が頭にチラつくんだ。そして今、手を伸ばせば届く場所に答えがある。…すぐそこにあるんだ。

だがリヴァイ、見えるか?俺達の仲間が…

仲間たちは俺らを見ている。捧げた心臓がどうなったか知りたいんだ。まだ戦いは終わってないからな。

…すべては…俺の頭の中の…子供じみた妄想にすぎない…のか?」

エルヴィンはリヴァイを上目づかいに見る。リヴァイはエルヴィンの前で膝をつき、エルヴィンをまっすぐ見る。

「お前はよく戦った。おかげで俺達はここまで辿り着くことができた…。俺は選ぶぞ。夢を諦めて死んでくれ。新兵たちを地獄に導け。獣の巨人は俺が仕留める」

 

エルヴィンの顔からさっきまでの暗さと険しさが消えていく。どうやらここが動かしようのない自分の死に場所らしい。エルヴィンは木箱から立ち上がる。

 

「これより最終作戦を告げる!!」

総員による騎馬突撃を目標「獣の巨人」に仕掛ける。その際、少しでも投石の命中率を下げるため、目標の投石のタイミングを見て一斉に信煙弾を放つ。そして我々が囮になる間にリヴァイが大型巨人を伝って忍び寄り、獣の巨人を討ち取る。

 

新兵の一人が気分を悪くしてゲロを吐いてしまう。別の新兵がエルヴィンに尋ねる。

「俺達は、今から…死ぬんですか?」

「そうだ」

「…どうせ死ぬなら、最後に戦って死ねということですか?」

「そうだ」

「いや…どうせ死ぬなら…どうやって死のうと、命令に背いて死のうと…意味なんか無いですよね…?」

「まったくその通りだ」

「…!」

「まったくもって無意味だ。どんなに夢や希望を持っていても、幸福な人生を送ることができたとしても、岩で体を打ち砕かれても、同じだ。人はいずれ死ぬ。

ならば人生に意味が無いのか?そもそも生まれてきたことに意味は無かったのか?死んだ仲間もそうなのか?あの兵士たちも…無意味だったのか?

 

いや違う!!あの兵士に意味を与えるのは我々だ!!あの勇敢な死者を!!哀れな死者を!!想うことができるのは!!生者である我々だ!!我々はここで死に、次の生者に意味を託す!!

 

それこそ唯一!!この残酷な世界に抗う術なのだ!!」

 

そしてエルヴィン達は突撃する。

「うおおおおおおおおおおおお…!!」

エルヴィンは叫ぶ。

「兵士よ怒れ!!兵士よ叫べ!!兵士よ!!戦え!!」

 

 

 

 

 

 

 

第81話 約束

1発目の投石が来る…!ドドドドドドッ!!

エルヴィン含め総員の約1/3がやられる。

 

「団長が…!!」

「振り返るな!!進め!!」マルロが叫ぶ。

2発目が来る…

マルロは思う――来る。これが死か。自己犠牲の精神…自分で言ってたのがこれだ。ヒッチは今頃何を…イヤ…あいつはまだ寝てるか……ああ…いいな。

…わからない。何で…俺は…今頃…ヒッチの言う通りにすれば良かったって思うんだろうか…

 

ドドドドドドッ!!

マルロ含めほとんどの兵士がやられる。

「しゃああああああ!!ゲームセットォ!!ハハ、わかるか!?投げ方を変えたんだよ。これならイチコロでしょ」

獣の巨人は得意げに前を見る。しかし…

「うおおおおおぉぉぉおおおぉぉ」

まだ3人残っている。獣の巨人めがけて突撃してくる。

「だから…そんなに叫んで何の意味があるってんだよ!!」ドドドドォォォ!!

最後の3人もやられる。

 

ドォ…。ドサ…。兵士達を哀れに思っていると、獣の巨人は近くの大型巨人が倒れているのに気が付いた。その方を見やると、立体機動装置のアンカーが飛んできて、獣の巨人に刺さる。騎馬特攻兵の最後の3人が撃った信煙弾の煙から、リヴァイが現れる。

リヴァイは目にも止まらぬ速さで獣の巨人の目を斬り、足を斬り、腕を斬り、うなじを斬る。獣の巨人はリヴァイを捕えることも、うなじを手で守ることも、硬質化で守ることも、すべてが間に合わない。リヴァイは中身のジーク戦士長を巨人の肉から斬り取り、彼の四肢を斬って、口の中に刃を刺す。

 

こいつはまだ殺せない。誰か生き残ってる奴に、ケニーからもらった巨人化の注射を打って巨人化させ、ジークを食わせ力を奪う。そうして一人だけ生き返らせることができる…

ドドドドドド!リヴァイの背後からものすごい勢いで何かが近づいてくる。リヴァイは振り向きざまに避ける。バクッ!四足歩行型の巨人がジークをくわえてダッシュで逃げてゆく。ジークは大型巨人に向かって叫ぶ。

お前ら!!あいつを殺せ!!

すると突っ立っていた大型巨人達は一斉にリヴァイの方を向き、襲いかかってくる。

「待てよ…俺はあいつに誓ったんだ…必ずお前を殺すと…俺は――誓った!」

パシュッ!立体機動のアンカーを発射し、リヴァイはたった一人で襲ってくる大型巨人の相手をする…

 

一方騎馬特攻兵の中で生き残った新兵が一人いた。

「何で…俺…生きてる…のか…?誰か…オーイ…生き残った奴はいないのか…?」

 

 

 

 

その頃シガンシナ区では、超大型巨人に歯が立たず、鎧の巨人も復活し、絶望の空気がリヴァイ班(104期兵)の中で濃くなっていた。ジャンが口を開く。

「アルミン…もうエレンを逃がすことにすべてを懸けるしか…」

「…」

「聞いてんのかよアルミン…」

「…やせてる」

「…?」

「超大型巨人が少し…細くなってる…。ハンジさんの言った通りだ!!やっぱり超大型巨人は消耗戦に弱い!!」

 

アルミンはついに反撃の作戦を思いつく。鎧の巨人を惹きつけておいてもらえれば、超大型巨人は自分とエレンで倒せる。アルミンはミカサ、ジャン、コニー、サシャに鎧の巨人を任せ、一人壁上でのびている巨人化エレンの元へゆく。

エレンを起こし、作戦を伝える…

 

 

 

 

 

 

 第82話 勇者

「何があっても僕の作戦守ってくれよ!?」

そう言ってアルミンは巨人化エレンの肩から壁上の地面に降りる。超大型巨人が少しずつアルミン達の方へ近づいている。その時、巨人化エレンは足を踏み外して下に落下する。ドォォォ…ン。巨人化エレンはうずくまって動かない。

 

ベルトルト「やっぱり…勝負はもうついていたんだ…。もう十分だ、終わりにしよう」

超大型巨人の右手がアルミンに向かってくる。ドォ!その攻撃をアルミンは避けて、立体機動で超大型巨人に接近する。しかし超大型巨人は再び全身から高熱の蒸気を発し、アルミンを近づけまいとする。しかしアルミンの立体機動のアンカーは外れない。なぜだ?よく見ると、アンカーは超大型巨人の歯に刺さっている。熱風は肉の部分からしか出ないんだ!

 

けど、とベルトルトは考える。それがわかった所で何だというんだ?君は僕の熱風でこれ以上近づけない。巨人化エレンも壁の傍でくたびれたままだ。ミカサ達はライナーの相手で手一杯だし。…本当にもう何もないのか!?…なら、今楽にしてやる。

超大型巨人は熱風の強さを一気に上げる。ボオオオオオオォォォォ!!

「ッ!!」

アルミンは吹き飛ばされないよう、装置のグリップを握っているのが精一杯だ。

 

まだだ。まだ離すな。エレンに託すんだ…僕の夢、命、すべて。僕が捨てられるものなんて…これしか無いんだ…

アルミンの手がグリップからついに離れ、丸コゲになったアルミンは吹き飛ばされる。

 

終わった…。さぁ次は、エレンと馬を…ん?超大型巨人が巨人化エレンを見ると、さっきからずっとくたびれて動かないと思っていたのは、硬質化した巨人化エレンの抜け殻だった。…え?

「殺(と)った」

超大型巨人の背後に、立体機動でエレンが飛び上がってきた。エレンはそのまま超大型巨人のうなじに移動し、ベルトルトを四肢の付け根から斬り取る。

 

陽動作戦…。最初にエレンが動けないと思わせたのも、アルミンの抵抗も、硬質化した巨人のカカシを造るための時間稼ぎ…。すべてはベルトルトの周りに敵がいなくなったと思い込ませるための計算された動きだった。

 

 

  

一方ミカサ達は、はじめ鎧の巨人がアルミン達の方へ行かないように惹きつけようとしたが、鎧の巨人は彼らを無視してアルミン達の方へまっすぐ走っていく。

注意を引けないのなら、ここで殺すしかない。ミカサは素早く判断し、走っていく鎧の巨人の膝裏に雷槍を撃ち込む。ドオォン!膝が砕け、鎧の巨人はその場に倒れる。

「オイ!!」

ミカサの単独行動にジャンは思わず声を上げる。

「ここでエレンとアルミンを守る」

「…あぁ…わかった!!」

4人は鎧の巨人を囲うように散らばる。

 

雷槍は残り3本…。これで鎧を仕留める方法は、1つしかない。奴が動けない内に勝負に出る!

「ライナアアアアアアアア!!」

ジャンが囮に、鎧の巨人の右斜め後ろから斬りかかる。それとほぼ同時に、鎧の巨人の左右からサシャとコニーがそれぞれ一本ずつ雷槍を構えて接近する。

鎧の巨人はサシャとジャンがいる右方の建物の家屋を右手で切り裂く。サシャとジャンは飛んでくる無数の鋭い木片を浴びる。サシャは雷槍を撃つも、鎧の巨人には当てられなかった。コニーは鎧の巨人の顎左側に雷槍を命中させる。ドォン!鎧の巨人の左顎が外れる。

…一本、外した。両顎を外して開いた口に雷槍を撃つつもりだったのだが…。ミカサは雷槍を構えたまま一瞬止まる。その時!

 

「よくやった!!」

ハンジが現れ、鎧の巨人の顎右側に雷槍を撃つ。ドオォォン!

ガコッ!鎧の巨人の口が開く。「今だ!!ミカサ!!」

鎧の巨人は右手で(左手はさっきから地面に手をついて、姿勢を保つために使っている)ミカサを捕えようとする。ミカサはそれをひらりとかわし、鎧の巨人の顎まで飛び込んで、口の中に雷槍をぶっ放す。

「ライナー、出て」

 

ドオォォォォ…ン!!

鎧の巨人のうなじからライナーが吹っ飛んで出てくる。

19巻あらすじ 人類VS巨人@ウォール・マリア シガンシナ区

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第75話 二つの戦局

エルヴィン団長は敵の巨人たちを観察しつつ、どう出てくるかを窺っている。獣の巨人のすぐ側に四足歩行型の巨人がおり、何やら背中に荷物を載せた鞍がある。先ほど一斉に巨人化したものではなさそうだ。だとしたらそいつが敵の斥候で、我々の接近にいち早く気付き、ライナーらに伝えた…とするなら、知性を持っている巨人と見られる。

 

鎧の巨人が壁を上ってくる。そして獣の巨人が雄叫びを上げると、2~3m級の巨人たちが一斉に内門の方に走ってくる。

 

エルヴィンは敵のしようとしていることを読む。敵の主目的はエレンの奪取である。そのためにまず、我々が逃げられないようにしたいようだ。依然巨人の領域であるウォール・マリア領から我々が馬無しで帰還する術はない。馬を殺せば、あとは退路を閉鎖するだけで我々は逃げられなくなる。

一週間でも一ヶ月でも動けるものがいなくなるまでただ待てばいい。そうすれば敵は戦わずして虫の息となったエレンを奪い去ることができる。今、敵の大型巨人が隊列を組んで動かないのは、それが檻の役目を果たしているに違いない。

今やるべきことは、鎧の巨人と超大型巨人に馬を殺されるのを防ぐことだ。エルヴィンは指示を出す。

 

「ディルク班並びにマレーネ班は内門のクラース班と共に馬を死守せよ!!リヴァイ班並びにハンジ班は鎧の巨人を仕留めよ!!各班は指揮の下『雷槍』を使用し、何としてでも目的を果たせ!!今この時!!この一戦に!!人類存続の全てがかかっている!!今一度人類に…心臓を捧げよ!!」

 

「ハッ!!」

 

エルヴィンは全体指示と別に、リヴァイに獣の巨人を仕留めること、アルミンに鎧の巨人戦の現場指揮をハンジとやることを指示する。指示を出し終わった後、一人壁上に立ちながら、エルヴィンは思う。

 

今までこうして何度も仲間を鼓舞し、自分を鼓舞し、数え切れない犠牲者を出してきた。調査兵になって気付いたが、他の仲間は人類のためにすべてを捧げているのに、自分は、自分だけは夢を見ている。今多くの仲間の屍の上に立っている。その重責は生々しく感じるが、それでも脳裏にチラつくのは地下室のことだ。世界の真相を知るまでは、自分は死ねない…

 

 

 

鎧の巨人が壁上まで上ってきた。目線の先には馬。少し前、リヴァイにうなじをザックリ斬られた時のことをライナーは思い出す。危なかった…。あの時…意識を全身に移すのが一瞬でも遅れていれば、あのまま即死だった。

とその時、鎧の巨人の背後で閃光が。シガンシナ区でエレンが巨人化したのだ。巨人化エレンは南の壁に向かって走り出す。まさか、南から壁を越えて逃げる気か!?いやでもそれなら立体機動で東か西の壁を伝ってから巨人化するだろう…。

ライナーはエレンの行動を不可解に思うが、自分の注意を馬からエレンに向けるための、エルヴィンの考えだと気付く。しかし気付いた所で、逃げるのを放っておくわけにはいかない。エレンは馬がなくても巨人の力でトロスト区まで帰ることができるからだ。鎧の巨人はせっかく上った壁を降り、シガンシナ区の巨人化エレンを追う。

 

鎧の巨人が壁から降りてきたのがわかると、巨人化エレンは向き直り、戦闘態勢に入る。巨人化エレンは拳にメリケンサックのような硬質化物質をつくる。以前トロスト区で鎧の巨人と戦った時、エレンは勝っていた。1対1の格闘戦ならオレは勝てる…

 

 

 

 

 

 

第76話 雷槍

その予想通り、巨人化エレンは鎧の巨人に確実にダメージを与えられている。硬質化した拳が功を奏し、鎧の巨人の硬質化のボディをカンタンに砕ける。取っ組み合いになり、巨人化エレンの関節技が決まるが、鎧の巨人はそこから抜け出し、巨人化エレンと距離を取って少しの間静止する。どうする…オレ一人ではエレンをかじり取るまでいけない。もはやこの手を使うしか―― 

 

その時、ハンジ班とリヴァイ班兵士が鎧の巨人に向かって立体機動で急接近してきた。鎧の巨人は「兵士に何ができる。俺の硬質化ボディには刃は効かない」と無防備でいたが、目の前のハンジとミカサの射出器から槍状のものが発射され、鎧の巨人の両目に突き刺さる。槍には手りゅう弾のようなピンがついており、ハンジとミカサがそれぞれ引っこ抜くと、槍は爆発した。

ドドォッ!!

鎧の巨人は目をつぶされ、しゃがんで前かがみの格好で動きが止まる。

 

その槍は、ハンジが技術班に頼んで作ってもらった、対鎧の巨人用武器だった。爆発する時に雷が落ちたような音がするから「雷槍(らいそう)」という名がついた。威力は十分あるが、果して鎧の巨人にも効くのか、そこが賭けだった。

 

今、鎧の巨人のうなじは無防備だ。残りの兵士が一斉に鎧の巨人のうなじに雷槍を撃ち込む。ドドドドドドォッ…!!爆発跡を見ると、うなじの鎧が剥がれかけている…!やった!雷槍が効いた!

 

ハンジ「もう一度だ!!雷槍を撃ち込んで止めを刺せ!!」

 

104期兵は一瞬ためらう(ミカサは違う)。だがジャンが発破をかける。

「お前ら…こうなる覚悟は済ませたハズだろ!?やるぞ!!」サシャとコニーが悲壮な顔でジャンを見る。

「うおおおおおおおぉぉ!!」

 

ドスドスドスドス…!!鎧の巨人のうなじに雷槍が刺さる。鎧の巨人の中のライナーが一回目の雷槍爆発による気絶から目を覚ます。

「―ハッ…待っ…待って――」

 

ドドドドドォン…!!雷槍が爆発し、鎧の巨人のうなじから頭が吹っ飛んだライナーの体が露出する。

 

 

 

 

 

 

 

 第77話 彼らが見た世界

「やったぞ!!頭を吹っ飛ばした!!鎧の巨人を仕留めたぞ!!」「うぅ……う………」

 

ハンジ班の兵たちは歓喜の声を上げ、104期兵は嗚咽を漏らしている。張りつめていた緊張がほぐれていく中、ミカサは鎧の巨人がピクッと動くのを見る。次の瞬間、

 

「オオオオォォオオオォオオオォォオオオオ…」

 

鎧の巨人が叫びを上げた。女型の巨人が捕えられた時上げた叫びと似たやつだ。敵側の何かの合図らしく、獣の巨人は四足歩行型巨人の背中の鞍から樽を一つ取り出し、シガンシナ区の中に向かって投げる。

 

ハンジはライナーの体ごと吹き飛ばすよう、雷槍をもう一度打ち込む指示をしていた。鎧の巨人の叫びで胸騒ぎがしていたアルミンは空を見上げ、獣の巨人が投げた樽がこちらに向かっているのを見つけ、中身はベルトルトだと直感する。

 

「ダメです!!ライナーから離れて下さい!!上です!!上から超大型が降ってきます!!ここは丸ごと吹き飛びます!!」

「クソッ!!全員鎧の巨人から離れろ!!超大型巨人がここに落ちてくるぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

第78話 光臨

ハンジ班とリヴァイ班の兵は一斉に離れる。しかしまだ超大型巨人の爆発を避けられる距離じゃない。もっと離れないと。でももう樽は建物のすぐ上まで落ちてきている。どうする…!

 

バカッ!!(樽のフタが開く音)「ライナアアアアァァ!!」

 

樽が開くと同時にベルトルトが飛び出してきて、巨人化せずライナーの元に着地する。ベルトルトはライナーの胸に手を当てる。…ドクン、ドクン…。生きている。どうやら全身の神経網に意識を移して死を免れたらしい。

 

ベルトルトがライナーの状態に気付き、攻撃を中断したおかげで、ハンジ班とリヴァイ班の兵と巨人化エレンは遠くまで離れることができ、助かった。ベルトルトがこちらに近づいてくる。ハンジが指示を出す。リヴァイ班(104期兵)はエレンを守れ。その他の者は全員で目標2体を仕留める。鎧に止めを刺し、超大型巨人は力を使わせて消耗させる。

 

せめてライナーに止めを刺しに行く間の時間稼ぎになればと、アルミンは独断でベルトルトと話し合いの交渉を試みる。が、ベルトルトは以前とは別人のように意志が強く、アルミンが揺さぶりをかけても全く動じない。そこへミカサが背後から奇襲をかけるが、ベルトルトは隙を見せず応じてくる。だがミカサを倒すまではいかないので、その場から逃げる。

 

一方鎧に止めを刺しに行った兵士たちだったが、鎧の巨人が体を仰向けにしている…!これじゃ止めがさせない…

他の兵はベルトルトを追いかける。ライナーを助けに行くと踏んで、距離をつめて追う。するとベルトルトは急に立体機動で上空に飛び上がる。まさか…ライナーはすぐ近くにいるのに…

 

そのまさかだった。ベルトルトの体が光り、それを中心にすさまじく広範囲の爆発が起こる。周りの建物が吹き飛ぶほどの爆風、上空には大きなきのこ雲。超大型巨人が現れる。巨人化エレンとリヴァイ班(104期兵)はだいぶ離れていたのでケガなく無事だった。鎧の巨人も無事なようだ。ハンジ班はベルトルトの近くにいたが…?

18巻あらすじ ウォール・マリア奪還作戦、開始

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第71話 傍観者

 エレン、リヴァイ、ハンジ、104期生(ミカサ、アルミン、ジャン、サシャ)一行は、訓練兵団教官キース・シャーディスの元を訪れる。彼からグリシャについて知っている話を聞く。

 

キースとグリシャが出会ったのは今から20年前、壁の外でだった。キースは調査兵団の一員で、壁外調査の帰路、ウォール・マリア シガンシナ区壁門前で丸腰状態の男を見つけた。

無許可で巨人領域に侵入したという罪で壁内の牢に拘束したが、特に被害者がいるわけでもなかったので、上への報告は無しで釈放となった。男は壁の中の歴史とか成り立ちとか、地域の名前とか、この壁の中の世界のことを何も知らなかった。知っていたのは、出生記録にもない彼自身の名前、グリシャ・イェーガーと、職業が医者だということだけ。

グリシャには壁の中に頼りの者などいなかったので、シガンシナ区で医者をしながら生活することになった。

 

ある時街で伝染病が流行った時、グリシャはキースの行きつけの酒場のウェイトレス、カルラとその両親の病を治したことで、カルラとの付き合いが始まり、後に結婚する。二人の間にはエレンが生まれる。

 

キースは調査兵団の団長になる。でもいつも成果は出せず、仲間を減らすばかりだった。キースは一度カルラから、「この子は別に特別にならなくてもいい。生まれてきてくれただけで偉大」と息子エレンのことについて話される。

 

時が経ってエレンが訓練兵団に入ってきた時、最初のバランス訓練で失敗するように、キースは装備の部品を一部欠けさしておいた。エレンに、「父グリシャの願い通り生きるのではなく、本当の自分に従って生きろ」ということを伝えたかったからだ。しかしその試みも、エレンの兵士になりたい思いを折ることはできなかったが…

 

 

 

 

 

 

第72話 奪還作戦の夜 

キースの話を聞いた後、エルヴィン、ハンジ、リヴァイなどの調査兵団幹部は会議をしていた。グリシャは壁の外の人間である可能性が高い。その彼が、調査兵団になりたいと言った息子に見せようとした地下室。エルヴィンはそこに何があるのか知りたくてたまらない。自分の父親の仮説を証明するものがあるに違いない。

会議の後、エルヴィンはリヴァイから、今回の作戦は前線に来るなと言われる。エルヴィンが調査兵団を指揮している、そのことが敵にとって今一番の脅威だからだ。前線に来て死なれては困る。リヴァイの判断は妥当なものだったが、エルヴィンはきかなかった。この世の真実を知ることが彼のやりたいことだからだ。

 

作戦前夜、エレンとミカサとアルミンは3人で話していた。アルミンは、ガキの頃と変わらず、海や炎の水、氷の大地、砂の雪原を壁の外で見ることを夢見ている。彼はそれを楽しそうに話す。そんな3人の会話を、リヴァイは物陰に隠れて聞いていた。エルヴィンとアルミンが重なって見えたのだろう。2人とも同じように夢を見ている。ケニーの言い方をすれば、夢に酔っ払っている。夢の奴隷だ。

 

 

 

 

 

 

第73話 はじまりの街 

翌日、日没と同時にウォール・マリア奪還作戦開始。調査兵団はウォール・ローゼ南 トロスト区のリーブス商会や住民らから歓迎されながら出発する。

そして日が昇る頃、シガンシナ区に到着。調査兵団はまず外門をふさぐ作業に取りかかる。総員100名がフードを被った状態で一斉に外門を目指す。これは敵にエレンがどれかわからなくさせるためだ。エレンは無事外門に辿り着き、巨人化、硬質化して巨人エレンの塊で外門の穴をふさぐ。

 

 

 

 

 

 

 

第74話 作戦成功条件

次は内門の穴だ。エレンたちは再びフードを被り内門まで移動する。しかしその移動中、エルヴィン団長から作戦中断の合図が信煙弾で撃たれる。総員壁の上に散らばって待機。

 

合図のある少し前、アルミンは壁の上に焚き火の後を見つけた。その周辺を調べると、野営用具が落ちており、鉄製の冷めきったポットと、ポットの中身を注いだ跡のあるカップが3つあった。敵は少なくとも3人はおり、何らかの方法で事前に調査兵団がこの日来ることを知っていたらしい。アルミンは、エルヴィンから敵の隠れ場所を探すよう指示を受ける。区外区内の内門周辺の建物を探すが、全然見つからない。

 

まずい…。もうエレンたちが内門をふさぎに来る…敵がどこにいるかもわからないのに。敵はいつだって僕らの予想外から攻めてくる。僕らがいつも不利なのは…いつだって僕らが巨人を知らないからだ。いつも…。その時、アルミンはストヘス区のアニ捕獲作戦で壁の中に巨人がいたことを思い出す。まさか…

 

アルミンは信煙弾を撃ち、壁上に敵捜索中の兵士を集める。

「アルレルト、見つけたのか!?敵はどこだ!?」

「まだです!!――全員で壁を調べて下さい!!」

「…壁はもう調べたと言ったろ!!どこにも隠れられる場所は――」

「壁の中です!!」

皆一瞬あっけにとられる。「壁の中!?」

「はい!きっと人が長い間入っていられる空間がどこかにあるはずです」

「なぜそれがわかる?」

「…勘です」

「お前今がどういう時だかわかっているのか!?そんなことにかける時間は――」

「し しかし敵は!!いつだってありえない巨人の力を使って僕達を追い込んできました。誰でも思いつく常識の範疇に留まっていては……到底敵を上回ることはできないのです!!」

 

エルヴィン団長はそれを聞いて、作戦中止の信煙弾を撃つ。

「時に厳格に 時に柔軟に。兵士の原理原則に則り最善を尽くせ。指揮系統を遵守せよ。我々は勝利するためにここに来たのだ」

アルミンはやはりこれしかないと踏む。

「再び二手に分かれ壁面の調査を!!扉の上部から入念に…捜索開始!!」

指示を受けた兵士たちは、自分達よりも若く経験の浅いアルミンの、突拍子もない発想にやはり納得がいかない。一瞬沈黙が流れる。しかし団長はアルミンの指示に従えという。…やるしかない。

「了解!!」

 

カンカンカンカン…兵士たちがシガンシナ区内側、内門付近の壁を上から下に向かって、刃で叩く音が響く。すると、穴が開いた所の上あたりの壁に、コンコンと音の違う部分が見つかる。見つけた兵士は信煙弾で知らせる。

その直後、壁が内部から開き、兵士が刃を胸に刺される。壁の中からライナーが出てくる。すぐ近くにいたアルミンは刃を構え、ライナーに応じる。とその時、リヴァイが壁上から急降下してきて、ライナーのうなじと胸に深く刃を突き刺す。そして蹴飛ばして地面に叩きつける。

「クソッ!!これも巨人の力か!?あと一歩…命を絶てなかった」

ライナーの体が光り、巨人化する。

 

それとほぼ同時に、ウォール・マリア内地、内門から離れた平地にも無数の光が。突如獣の巨人と、巨人の大群が現れる。獣の巨人は大きな岩を内門の穴めがけて投げる。岩は穴のあたりの地面に落下し砕ける。内門に岩のガレキの山ができ、馬が通れないようになった。敵はここでなんとしてもエレンを奪う気だ…

17巻あらすじ エレンとヒストリア奪還成功 ヒストリアは女王になる

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第67話 オルブド区外壁

エレンはミカサとジャンにほじくり出されて、自分の巨人から救出された。目が覚めてみると、硬質化した巨人エレンと、天井の崩落を防ぐための何本もの柱が立っていた。どうやらエレンは硬質化に成功し、皆を助けたらしい。これでウォール・マリアもふさげる。

 

地上へ出てみると、超大型巨人の倍くらいある巨人、ロッド・レイスが四つん這いになって、近くの木々を燃やしながら移動している。エレンに「叫び(座標)」の力を試させてみるが、発動しない。

巨人はウォール・シーナ北城壁都市オルブド区の方角へ一直線に進んでいる。奴はより大勢の人間が密集する方へと吸い寄せられる奇行種と見られる。選択肢は、エレンを食わせて人間に戻すか、殺すかの2択。

しかしエレンはせっかく硬質化を修得し、壁をふさげる目処が立った。それに父グリシャが苦労してレイス家から奪った力は、何か意味があるはず。シガンシナ区エレンの家の地下室に辿り着くこと、そこに何が隠されているのか確認するまでは、エレンは失えない。ヒストリアには悪いが、ロッド・レイスの巨人は殺す方針が固まる。

リヴァイ、ハンジ一行はエルヴィン団長率いる調査兵団部隊と合流し、オルブド区へ急ぐ。

 

 

 

 

 

 

第68話 壁の王 

オルブド区の駐屯兵団と調査兵団で協力して巨人を殺すことになった。区内の住民は避難させずに作戦を実行する。なぜなら人々が避難する方に巨人が吸い寄せられてしまい、オルブド区の外壁で迎え撃つことができなくなる恐れがあるからだ。

 

そしていよいよ巨人が城壁に近づいてきた。ヒストリアは安全な場所で待機命令を受けていたが、何か考えがあるらしく兵服と装備をそろえて前線に来た。かき集めてきた砲台を壁上から地上から、巨人のうなじめがけて一斉に発射する。しかし効き目は無かった。

そこで、エルヴィンが考えた作戦に移る。何やら荷車に立体機動装置の射出器を取りつけたものに火薬を積んだり、たくさんの火薬の樽を大きな網でひとまとめに包んだりしている。

そうこうしている間に巨人は城壁の真下まで来た。両手を壁の上まで伸ばして、巨人は立ち上がる。オルブド区の住民たちは巨人を見てパニックになり、我先に逃げようと走り出す。壁上の駐屯兵団を退避させ、調査兵団の作戦が始まる。

 

エレンが巨人化して、少し離れて待機している。エルヴィンの信煙弾が撃たれると同時に、巨人が手をついている両外側から荷車の射出器を発射。巨人の手に刺さると、ワイヤーを巻き取りながら荷台は巨人の手めがけて直進する。荷車が巨人の手にぶつかり、載っていた火薬が爆発、巨人は体勢を崩し、アゴが壁に引っかかる形になる。

次にエルヴィンの指示で、巨人化エレンが大きな網に包んだ大量の火薬を担いで巨人に近づく。そしてその包みを巨人の口に勢いよく放り込む。巨人の体内で火薬は爆発し、うなじ辺りの肉片が四方八方に吹き飛ぶ。

そのどれかが奴の本体なので、総員立体機動で肉片を捉えて切りにかかる。一体どれが本体だ!?早くしないとまた再生して高熱の盾が復活してしまう。その時、ヒストリアが肉片を切ると、他の肉片が崩れて消えだした。ヒストリアはそのまま落下して何かの荷台の上に落ちた。駐屯兵団の兵士や街の人々が心配して集まってくる。

 

「君があの巨人にとどめを刺したのか!?この街は救われたのか!?」

「…私は、ヒストリア・レイス。この壁の真の王です」

 

ヒストリアは自分が巨人にとどめを刺したことにしてほしいとエルヴィンに相談していた。そうすればこの壁の求心力となって民衆をまとめることができると。しかしまさか本当に自分で仕留めてしまうとは…

 

 

 

 

 

 

 

第69話 友人 

王都でヒストリアの戴冠式の準備が進められる中、リヴァイはレイス卿の礼拝堂周辺でケニーを探していた。ケニーは林の中で木にもたれかかり、ひどいやけどと出血で虫の息であった。一人昔のことを思い出していた…

 

ケニーの妹クシェルは地下街の娼館で働いていて、ある客との間にできた子どもを産む。それがリヴァイだった。クシェルはその後病気をもらって衰弱死する。クシェルの家で死にかけていたリヴァイを拾ったのがケニー。

ケニーはリヴァイに地下街での生き方を教えた。力がなければならない。いや、力さえあればいい。リヴァイが子どもながらも一人で生きていけるようになった時、ケニーはリヴァイの元を去った。

 

そしてある日、ケニーは王政の議会関係者から情報を吐かせ、レイス家 巨人の力継承者、ウーリ(ロッド・レイスの弟)を襲うが、巨人の手に握りつぶされそうになり、初めて自分より強い奴の力に屈服する。

ウーリの意志でケニーは殺されずに済み、憲兵団に入ることになる。ケニーはウーリと親交を深める。

月日は流れウーリは次の継承者に食われる時となった。次の継承者フリーダもウーリと同じような目をしていて、いつも愛だの平和だのとのんきなことを言っている。なんでそんな暇なことを言っていられるのか、ケニーには全く分からなかった。神にも等しい力を手に入れてしまうと誰でも慈悲深くなってしまうのだろうか。クズみたいな俺でも?それを確かめたかった…

 

 

 

リヴァイがケニーを見つける。ケニーの部下は全員地下崩落時に潰れて死んだらしい。ふとケニーが喋りだす。

「今なら奴のやったこと、わかる…気がする。俺が見てきた奴ら…みんなそうだった…酒だったり…女だったり…神様だったりもする。一族…王様…夢…子供…力…みんな何かに酔っ払ってねぇとやってらんなかったんだな…みんな…何かの奴隷だった…あいつでさえも…」

そして最後にリヴァイにある物を託す。ケニーがロッド・レイスからくすねておいた巨人化注射セットだった。間もなくケニーは息を引き取った。

 

 

 

 

 

 

 

第70話 いつか見た夢 

王都。民衆が集まった中、ヒストリアの戴冠式が行われていた。ヒストリアの考えた通り、民衆は歓迎モードである。

それから2ヶ月。ヒストリアはレイス卿領地の牧場で、孤児院を開き院長として忙しくしていた。地下街の孤児を集めてきて面倒を見る。一人で困っている人がいたらどこにいたって助けに行く。彼女のやりたかったことだ。

 

新体制になると、旧体制の権力者たちは爵位剥奪や地方の収容所送りなど、粛清を受けた。また、これまで中央憲兵によって抹消されてきたとされる技術革新の芽は、実は一部の中央憲兵により保持されていた。それで兵器の改良がなされたり、他にもいろいろと便利な物が開発された。

ウォール・マリア奪還作戦の準備も着々と進んでおり、あと約1ヶ月で全ての準備が整うところまで来た。

 

エレンはレイス卿の洞窟で記憶が蘇った時、父グリシャがフリーダを食ってからエレンに食われるまでに会っていた人物を思い出していた。それが誰だったのかわからなかったが、ジャンの冗談で思い出す。キース・シャーディス教官だ。訓練兵時代お世話になった人。

 

 

 

 

一方ウォール・マリア、シガンシナ区では獣の巨人と鎧の巨人が戦っていた。ライナー(鎧の巨人)が勝てば、エレンを奪う前にアニの救出をするという賭けの勝負をしていたらしい。しかしライナーは負けた。ベルトルトが心配そうに駆け寄る。

3人は、エレンたちが来るのを待ち受ける…

16巻あらすじ リヴァイ、ハンジ一行、エレンとヒストリアのもとへ

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 第63話 鎖

レイス卿領地、礼拝堂地下。エレンは高台のへさきに鎖でつながれ、動けない。ヒストリアがエレンの体に触れると、ヒストリアのある記憶が蘇る。エレンも父親に関する大事な記憶を思い出す。

ロッド・レイスが語り始める。

5年前、エレンの父グリシャ・イェーガーはこの場所にやってきて、レイス家一族を皆殺しにした。目的は、ロッド・レイスの娘、フリーダが持つ巨人の力を奪うこと。グリシャは巨人化し、同じく巨人化したフリーダと戦い、フリーダを食って巨人の力を奪った。そしてレイス家を根絶やしにするため、残りの家族も殺す。ロッド・レイスはかろうじてその場から逃げ出し、生き延びた。

話の途中でケニーが割って入ってくる。王都でクーデターが成功し、この場所もいずれ見つかる。時間がない。早くやることをやってくれ、と。ケニーは何か企んでいる顔である。

 

 

 

 

 

 

 

 

第64話 歓迎会

一方リヴァイ、ハンジ一行は道中、戦闘の役に立ちそうな物資を民家で調達しつつ、ついに礼拝堂地下の入り口まで辿り着く。これまで中央憲兵本部にも、王都にも、第一憲兵ケニーの対人立体機動部隊がいなかった。ということは、必ずこの先の地下におり、リヴァイら調査兵団の部隊を迎え撃つため待ち伏せている。

 

リヴァイ「それでお前ら…手を汚す覚悟の方はどうだ?」

皆肝の据わった、動揺のない2つの眼でリヴァイの方を向く。

 

「…良さそうだな」リヴァイが扉を勢いよく蹴っ飛ばして、総員地下へ侵入する。事前に対人立体機動の弱点をつけるようにと用意しておいた煙幕用の火薬と油や信煙弾が功を奏し、リヴァイらは次々とケニーの部隊を殺していく。

しかし、ハンジが敵に気絶させられ、リヴァイらの攻撃の手が止まる。その隙に敵の部隊は離れて距離を取り、体勢を立て直す。ハンジの介抱はアルミンが引き受け、残りの者で敵を追いかける…

 

 

ケニーの部隊とリヴァイらの戦闘の音が、エレンらのいる地下室奥にも聞こえてくる。

ロッド・レイスはまた語り始める。

この地下の洞窟は約100年前に作られた。ある巨人によって。その巨人は、あの三重の壁も作り、人々の壁の外にいた時の記憶を改ざんした。その巨人の力と、世界の成り立ちとその経緯の記憶は代々レイス家で継承されてきた。継承者が巨人化して食うやり方で。その力さえあれば、この世の巨人を駆逐することも可能だという。しかし、それはレイス王家の血を引く者でなければ真の力を発揮できない。つまり今エレンがその力を持っていても、使えない。

「オイオイ オイオイ…」ケニーがうろたえた顔で言う。「じ…じゃあ俺が巨人になってエレンを食っても意味ないのかよ…」

 

 

 

 

 

 

 

第65話 夢と呪い 

ケニーには夢があった。この世で一番強い巨人の力を手に入れて、この世界を盤上ごとひっくり返すという、夢が。巨人の力のことは、もう何十年も前、ケニーがまだ都で切り裂きケニーと呼ばれていた頃、彼の祖父から聞いて知ったのだった。

 

でもここでその夢は叶わないと知ってしまった。ケニーはエレンの所まで歩いてゆく。そしてエレンの猿ぐつわを外し、ナイフで額に切り込みを入れる。エレンとヒストリア、同時に巨人になってもらい、殺し合う所を見ようというのだ。ケニーは見物のため安全な所まで離れる。

 

ロッド・レイスがヒストリアをたきつける。「急げヒストリア!!」エレンが巨人化する前に。ヒストリアは注射器の先を自分の腕につける。エレンを見る。全く抵抗しようとする気配がない。

「エレン、何で巨人化しないの?」

「いらなかったんだよ…。オレも、オレの親父も」

お前の姉ちゃんから力を奪わなければ、こんな大勢の命を失わずに済んだんだ。俺にはどうやっても償いきれない。ヒストリア、俺を食って人類を救ってくれ…

 

 

 

 

 

 

 

 

第66話 願い

ヒストリアは一瞬、自分の母に「こいつを殺す勇気が私にあれば…」と言われた時のことを思い出す。

注射器の手が止まっていると、ロッド・レイスがやさしい声で促してくる。しかし、エレンを食ったところで初代王の思想に支配されてしまい、巨人を駆逐することはできない……しかしそれは私の使命……ユミルのかけてくれた言葉が蘇る。「クリスタ、お前の生き方に口出しする権利は私に無い」……でもお父さんが望むのは私が巨人になってエレンを食うこと……ユミル「お前、胸張って生きろよ」

 

パリンッ!

 

ヒストリアは注射器を地面に叩きつけた。「ヒストリア!!」激怒してつかみかかる父親を背負い投げし、逆ギレする。

「もう!これ以上…私を殺してたまるか!!」

 

ヒストリアは側に置いてあったロッド・レイスの鞄を持って、エレンのもとに走る。鞄からカギを取り出し、エレンの鎖を外そうとする。

一方ロッド・レイスは割れた注射器からこぼれた巨人化液をなめて、巨人化しはじめる。エレンは巨人化したロッド・レイスに食われればいいと思い、ヒストリアに逃げろと言う。しかしヒストリアは嫌だと言う。何で!?

 

「私は人類の敵だけど…エレンの味方。いい子にもなれないし神様にもなりたくない。でも…自分なんかいらないって言って泣いてる人がいたら…そんなことないよって伝えに行きたい。それが誰だって!どこにいたって!私が必ず助けに行く!!」

 

エレンの鎖のカギを1コ外せたが、巨人化のものすごい熱風でヒストリアは吹き飛ばされる。壁に頭を打ちつけそうになった時、ミカサに受け止められ、助かる。

リヴァイや104期生の皆もやってきた。リヴァイとコニーとジャンでエレンの鎖のカギを外す。ロッド・レイスの巨人は超大型巨人よりも大きくなっていき、地下の天井を突き破ろうとしている。このままでは天井が崩落してガレキに潰され死んでしまう。と言って穴が開いた天井を立体機動で飛び抜けようにも、巨人化の熱がすさまじすぎて穴に近づけそうにない。しかしそれ以外に方法が無さそうだ。

 

どうする…。エレンはロッド・レイスの鞄から出ている、巨人化液の入ったビンが手元に転がっているのを見つける。ラベルには「ヨロイ」と書いてある。リヴァイがエレンに話しかける。

「毎度お前にばかり…すまなく思うが、好きな方をえらべ」

エレンは女型の巨人を捕らえる時、リヴァイから同じことを言われたのを思い出す。

そして「ヨロイ」のビンをつかんで走り出し、ビンを口でかみくだく。液を飲んで、巨人化しはじめる。

 

「ごめんなさい…最後に一度だけ…許してほしい。自分を信じることを」

15巻あらすじ 王都、制圧 調査兵団の無実証明

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第59話 外道の魂

ジャンに銃口を向けた憲兵は撃つのを一瞬ためらった。その瞬間に、荷馬車の御者(馬車を操縦する人)役だったアルミンが銃を懐から出し、憲兵を撃ち殺した。そして無事憲兵の追っ手をまいて街はずれの森に逃げた。

リヴァイは、逃げた自分達を憲兵たちが捜しに来ると踏んで、待ち伏せをする。

案の定捜索に来た憲兵がいて、身柄を拘束する。彼らを利用して中央憲兵の本部をつきとめたが、そこにエレンとヒストリアはいなかった。そこでボスらしき者を引きずり出し、2人の居場所を吐かせようとするが、吐かない。本当に知らないらしい。どうしたものか…

 

 

 

 

 

 

第60話 信頼

一方ウォール・ローゼ南、トロスト区。フレーゲル・リーブスが中央憲兵に見つかり、廃墟のような住宅の袋小路に追いつめられていた。憲兵フレーゲルに銃を向けて撃とうとした時、

「死ぬ前に教えてくれ。なぜ親父は中央憲兵に殺された?」とフレーゲルは請う。

 

すると憲兵はペラペラと真実を喋りだす。ディモ・リーブスは中央憲兵が殺したこと、それはリーブス商会が中央憲兵の人さらいの依頼を裏切って調査兵団側についたからだってこと、そもそもこの街に固執せずにどこかへトンズラこけばまだ命はあっただろうに…など。

そう言う憲兵フレーゲルは軽蔑する一言を放つ。憲兵の癇に障り、銃を構えまさに撃とうとした時…!頭上から調査兵団のハンジとモブリットが奇襲をかけ、3人の憲兵はのされる。

 

ハンジ「やったぞ!!聞いたかみんな!?」

すると建物の中からぞろぞろと人が出てくる。トロスト区の住民たちだ。彼らは一部始終を聞いており、調査兵団のディモ・リーブス殺しの疑いは晴れた。

と言っても、疑いが晴れたのはトロスト区の中でのみ。ハンジは現場にこっそり連れてきていたストヘス区(ウォール・シーナ東)のベルク新聞社の人に、この事件の真相を記事にしてくれないかと頼む。王政に逆らうような記事を書くと家族ごと殺されてしまう、と渋られるが記事を書いたあとトロスト区に関係者や身内の者をリーブス商会がかくまう条件付きで引き受けてもらえた。

 

 

 

 

 

 

 

第61話 回答 

王都では、城の中で全兵団の幹部が集められて調査兵団の解体を進めていた。

王の間。エルヴィン団長は中央憲兵の尋問(拷問)を受けるが、それでもなおディモ・リーブスら殺害は無関係で、調査兵団は王政に敵対しておらず、この兵団の解体は人類にとって損害であると主張する。

しかし王政側の役人の一人のキモいおっさんは、1日前ストヘス区でリヴァイ班が憲兵を複数殺害したことを挙げ、王政への明らかな敵対感情だと主張する。対話による平和的解決を拒むような組織はこの壁の中には必要ない、と別のキモいおっさんが言う。そしてエルヴィン団長は処刑台に連れて行かれることになる。

 

…その時、王の間の扉がバンッ!!と勢いよく開けられた。

 「ウォール・ローゼが突破されました!!」

突如出現した超大型巨人と鎧の巨人によってカラネス区の扉が2つとも破壊された。現在東区より避難する住人が押し寄せてきている。

駐屯兵団ピクシス司令は迅速に指示を出す。住民の避難を最優先とし、避難経路を確保せよ。

 

 「ダメだ!!」

1人のキモいおっさんが叫ぶ。ウォール・シーナの扉を全て閉鎖せよ!!避難民を入れるな!!…ザワつく王の間。人類の半数を見殺しにするのか?そこへ武装兵を引き連れたザックレー総統がやってくる。

「先ほどの報告は誤報です」

 

エルヴィンがピクシスとザックレーに頼んだカマかけだった。人類の半数よりも自分たちの資産が大事だと考えている者がトップで、黙っているわけにはいかない。駐屯兵団は中央憲兵を制圧し、ザックレー総統が王都と行政区を制圧した。

 

 

 

 

 

 

 

 

第62話 罪

その時ちょうど王都ではベルク社の号外が人々を賑わせていた。ディモ・リーブスら殺害事件についてのフレーゲル・リーブスの証言、現在の全ての情報機関は王政の圧力に従っていること、フリッツ王は偽の王で本当の王は地方の貴族だという中央憲兵の証言。ほどなくして王都で現体制の崩壊が宣言された。

 

 

 

その頃ハンジ班が中央憲兵の本部近くにいるリヴァイ班と合流する。ハンジから調査兵団の冤罪が晴れたことを伝えられ、リヴァイ班は歓喜する(リヴァイは一人落ち着いている)。

ハンジは「エレンが食われる」と言って、早く救出に行かねばと焦っている。ライナーやベルトルト、ユミルの会話・行動から推察するに、『巨人になれる人間を 巨人が食べると 能力が継承されて人間にも戻れる』と。つまり敵はエレンではなく、エレンの持つ巨人の能力を欲しがっていると。

 

そしてエレンとヒストリアの居場所だが、エルヴィンから託されたレイス卿領地の調査報告書に手がかりがあった。

「5年前ウォール・マリアが破壊された日の夜、村に一つだけある石造りの礼拝堂でレイス家が一家全員で祈りを捧げていた。そこに盗賊がやってきて、ロッド・レイス以外一族全員を惨殺し、礼拝堂も全壊。盗賊を目撃したのはロッド・レイスただ一人、礼拝堂はロッド・レイスが自らの資産ですぐ建て直した」と。

巨人が関与してそうで、怪しいニオイがぷんぷんする。ハンジ、リヴァイ一行はレイス卿領地の礼拝堂を目指す。